会社設立に印鑑は必要?|実印・銀行印・角印の役割と、法務局に出すときの決まり
会社を作るとき、「会社の印鑑を作らないといけない」と聞いたことがある人は多いと思います。ただ、2021年2月からは、登記の申請のしかたによって、法務局に印鑑を出すかどうかを選べるようになりました。この記事では、印鑑が必要になる場面と、作るときの決まり、よく使う3種類の印鑑の役割を、法務省の案内と商業登記規則の内容(2026年10月時点)で整理します。
法務局への印鑑の提出は、申請のしかたで変わる
会社の設立の登記を申請するときに、代表者が法務局に印鑑を出しておくことを「印鑑の提出(印鑑届)」といいます。ここで出した印鑑が、いわゆる会社の実印になります。
法務省の案内では、2021年2月15日から、次のように扱いが分かれています。
| 登記の申請のしかた | 印鑑の提出 |
|---|---|
| オンラインで申請する | 任意(出さなくてもよい) |
| 書面で申請する | 必要。申請書に、登記所に出している印鑑を押す必要があるため |
書面で申請する場合の決まりは、商業登記規則 第35条の2に「申請人又はその代表者が申請書に押印する場合には、登記所に提出している印鑑を押印しなければならない」とあります。オンラインで申請して印鑑を出す場合は、登記の申請と同時に出すときに限って、オンラインで出せます。
なお、印鑑を出していないと、法務局で会社の印鑑証明書をとれません。取引の契約や銀行の手続きで印鑑証明書を求められることがあるので、オンラインで申請する場合でも、出しておくかどうかは先に考えておくと安心です。
法務局に出す印鑑の大きさの決まり
法務局に出す印鑑には、大きさの決まりがあります。商業登記規則 第9条3項では、次のように定められています。
- 1辺が1cmの正方形に収まってしまう小さい印鑑は使えない
- 1辺が3cmの正方形に収まらない大きい印鑑は使えない
つまり、1cmより大きく、3cm以内に収まる大きさにする必要があります。同じ条の4項には「照合に適するものでなければならない」ともあります。長く使っても形が変わりにくい材質を選ぶのが無難です。
よく作る3種類の印鑑と役割
| 印鑑 | 主な使い道 |
|---|---|
| 実印(代表者印) | 法務局に出す印鑑。登記の申請、重要な契約、印鑑証明書が必要な手続き |
| 銀行印 | 銀行口座を作るとき・お金を引き出すときの届出印 |
| 角印 | 請求書・見積書・領収書など、日々の書類に押す印鑑 |
実印と銀行印に同じ印鑑を使うこともできますが、分けておくと、1本をなくしたときや人に預けるときの影響が小さくなります。日々の書類には角印を使い、実印はしまっておく、という使い分けがよく見られます。銀行印は、口座を作る銀行によって手続きが違うので、申し込む銀行の案内も確かめてください。
いつまでに用意するか
書面で設立の登記を申請するなら、申請の前に実印ができている必要があります。オンラインで申請して印鑑を出さないなら、登記の前に急いで作る必要はありませんが、銀行口座を作る時期までには銀行印を用意しておくと手続きが止まりません。
- 会社名(商号)を決める。印鑑には会社名を彫るので、先に名前を確定させる
- 書面で申請するか、オンラインで申請するかを決める
- 書面で申請するなら、実印を登記の前に作る
- 銀行印と角印は、口座の開設や請求書の発行に間に合うように作る
会社名を決める前に印鑑を注文してしまうと、名前を変えたときに作り直しになります。順番には気をつけてください。
印鑑をどこで作るか
近くのはんこ屋のほか、ネットで注文できるお店も多くあります。ネットで注文する場合は、次の点を見比べると選びやすくなります。
- 注文から届くまでの日数(登記の日程に間に合うか)
- 彫る前に印影(押したときの形)を確認できるか
- 実印・銀行印・角印をまとめて頼めるセットがあるか
- 大きさが、法務局の決まり(1cm超・3cm以内)に合っているか
まとめ
- 2021年2月15日から、オンラインで登記を申請するなら、法務局への印鑑の提出は任意
- 書面で申請するなら、印鑑の提出が必要
- 法務局に出す印鑑は、1cmの正方形に収まらず、3cmの正方形に収まる大きさにする
- 実印・銀行印・角印は分けて作ると、なくしたときの影響が小さい
会社を作るときの費用の全体は「合同会社と株式会社の違い|設立にかかる費用を公式の金額で比べる」に、そもそも法人にするかどうかは「個人事業と法人の違い」にまとめています。